【NAVITIME】路線バスのみで列島縦断出来るのか?? 全国バス会社カバー率100%達成記念!<日本縦断ルート品評会・前編>

NAVITIME

プロジェクトはこうして始まった

NAVITIMEが日本初の全国バス会社カバー率100%達成。「道路がつながっている範囲ならば、路線バスで列島縦断できるのではないか」という発想から、社内のバス路線の有識者と経路検索エンジンのエキスパートが集められ、青森県の最北端の大間崎から鹿児島県の島しょ部を除く最南端の佐多岬(の最寄りバス停の「ふれあいセンター」)まで、路線バスのみを使ったルートを見つけ出す作業が始まった。が、簡単には乗り継ぎルートが見つかるわけではなかった。

 

県境&地形の壁

早速、東北地方内で路線は途切れる。青森県~秋田県の区間が断線しているのだ。高速道路が延伸するほど都市間輸送は高速バスに移行し、路線バスでは県境を形成するような峠や川をまたぐ路線が減ってきている。

 

なので、ある程度の徒歩移動は致し方なしということになった。では、どこを徒歩で移動すれば路線バスだけで移動できるのか。

現状のNAVITIMEで所有しているバス路線データでは、東北~関東は日本海岸経由、関東へは新潟県から群馬県を経て太平洋側と瀬戸内海沿いに西に向かえば九州まで行けるのではないかと予測した。

路線バスがつながっていない場所、その中でもなるべく徒歩距離が短くなる場所を選定する作業を有識者4名で実施。

おおよそ2時間程度の作業で「最低11か所」という結果を得た。どうしても10km以上歩かなくてはならない箇所もあるが、11という数字は意外と少なく感じた。探すと県境をまたぐ路線バスも実はまだまだあったのだ。

 

 

経路検索エンジンの壁

乗り継ぎルートは有識者の知識だけではなく、経路検索エンジンを用いて最適なルートを出すことに挑戦した。

 

とはいえ、日本国内で各種公共交通手段を使えば、遠い場所であってもせいぜい移動時間は2日程度で済む。今回は路線バス+徒歩だけで経路を求めるため、2日では到底足りない。検索にかける時間、パソコンのメモリ等々、各種パラメータを最大限まで駆使し、経路検索エンジンの限界に挑んでみた。線さえつながっていれば繋げてみせる—。

 

検索開始からおよそ3時間。

 

 

経路が、つながった。

 

移動所要時間:21日と6時間2分

 

 

2018年1月29日現在のダイヤで、大間崎を5:58に出発する下北交通バスに乗車し、乗り継ぎを重ねること約200回。最南端のバス停のふれあいセンターには2月19日の12:00に着く、という。

 

とはいうものの、実はルートを見つけるにあたって、何度か経路を見直した。路線バスだけの乗り継ぎなのだから、なるべく高速道路は避けよう、と。パラメータの再調整を経て、本州と四国をまたぐ区間以外は高速道路を使わず、純度の高い路線バス乗り継ぎルートにたどり着いた。

 

なお、運賃は109,220円。普通運賃で移動したとしても、飛行機のほうが安くなる。

 

経路を有識者で振り返る

プロジェクトは振り返ることも重要。というわけで、経路エンジンで算出されたルートを見ながら、バスデータ有識者4名による座談会を行ってみた。参加者はこのようなメンバーである。

 

Y内:社歴10年目。幼少のころから江ノ電バスや神奈川中央交通を見て育ち、社内でもとびぬけたバス知識を持つ。北海道中央バス、京都市バス、沖縄県内のバス全般などにも造詣が深い。

 

K山:社歴9年目。福岡育ちで、西鉄バスとは長年の付き合い。入社時の面接では「自作の」西鉄バス路線図を持参し、即採用された伝説を持つ。ちなみに、西鉄バスは所有台数も系統数も日本トップクラス。

 

A藤:社歴6年目。大学時代はK山氏の後輩。熊本県内のバスの知識で右に出るものはない。九州内~瀬戸内エリアにかけて路線バスだけで行けるルートは過去にシミュレートしていたとも。

 

Y永:社歴10年目。栃木県生まれで、茨城県を経て現在は練馬区在住。関東と名の付くバス会社が好き(関東自動車、関東鉄道、関東バス)。本当は高速バスの乗り継ぎのほうに興味は向いているらしい。

 

東北地方から関東地方に至るまで

 

 

Y永:実は、大間崎を12:08に出発しても、ふれあいセンターの到着日時と時刻は変わらないです。

 

Y内:けど、その場合だと、有料道路の「みちのく有料道路」経由となる。大間崎の始発便で乗り継いだら浅虫温泉を経由した一般道経由でも行けるから、こっちのほうがいいですよね。

 

(一同):確かに。

 

A藤:あの下北半島を1回の乗り継ぎで青森市内まで来れてしまうのはすごい。1時間半や3時間近く走る長距離の路線バスは全国を見ても数少ないと思います。

 

(一同):確かに。

 

—こういった具合でレビューは進んでいく…。

 

大間崎から青森市内まで乗車する下北交通バス。

 

Y永:青森県から岩手県、宮城県というルートも考えたかったけどなぁ。

 

K山:まだ宮城県内の一部路線を整備中で…秋田県経由に。そうなったとき、秋田県までで3箇所断線していて、青森県~秋田県の岩渕公園前~矢立ハイツ(約3km)、秋田県内でも薬師山スキー場~荷上場(約4km)、大潟村手前の下五明光~ホテルサンルーラル大潟前(約4.5km)を徒歩で移動する必要がありそうです。

 

Y永:頑張って徒歩を使わないで秋田県に入ろうと路線図を見入っていたら、八幡平頂上で岩手県北バスと羽後交通を乗り継げる!と思ったけど、残念ながら冬期運休でした…。雪には勝てない。

 

Y内:でも、まぁ5kmくらいならじゅうぶん歩ける範囲ですよ。

 

—そう。徒歩距離が5km以内というのは短く感じてしまう、と錯覚させる箇所がこのあと3つも出てくる…。

 

K山:秋田県から山形県の間が…。

 

A藤:県境の三崎公園前~旧八幡町の市街地付近まで約20kmも路線バスがないのか…。

 

Y永:一応、由利本荘~仙台の高速バスで、由利本荘~酒田間の区間乗車は可能みたい。座席に空きがあれば、という条件付きだけど。

 

秋田市内から山形県境までは羽後交通バスで。

 

—ここから新潟県までは(意外と)路線バスの乗り継ぎで進むことができる。

 

Y永:山形県と新潟県の県境の鼠ヶ関はバスが通っているんだ…。なんかいいなぁ。(なんで福島県~栃木県の白河の関を超えるバスがないんだ!)

 

A藤:そういえば、その先に、某北海道のテレビ局の原チャリで東京→札幌に帰る企画で有名な場所ありましたね。「だるまやウィリー事件」の。

 

(一同):あー。通るね。

 

—どういうわけか、あの番組は有識者みんな見ている。

 

Y永:…で、ここが問題の区間ね。坂町病院前~新発田駅前(約23.5km)。

 

Y内:たしか平野のはずなのに、路線バスがない…。

 

K山:2017年秋までは、新発田駅から北上するバスがあったので、もう少し徒歩距離は短かったのですが…。

 

Y永:間違っても、このルートじゃ乗り継ぎの実践はしないからね!(本心)

 

—県境でなくても、路線バスは途切れる厳しい現実。ちなみに、新潟~村上には高速バスもあったが廃止された。

 

Y内:この先の新潟県内は細かく乗り継ぎながらも十日町を経由して越後湯沢まで行けるんですね。

新潟市内から群馬県境手前までは越後交通とそのグループ会社を乗り継ぐ。

 

—そして関東地方へ。ただし、最大の難関が待っている。

 

(一同):三国トンネル…。

 

—新潟県と群馬県をつなぐ区間には、路線バスはない。

 

K山:トンネル前後の西武クリスタル前~猿ヶ京は徒歩ですね…。約14kmありますが…。一応、三国トンネルは徒歩での通行も可能らしいですが、ちょっと狭くありません?

 

Y内:とはいえ、ここ以外につなげようにもふさわしいところもなく…。北陸地方は富山県まで行けないし、長野県から群馬県も難しく。

 

Y永:(尾瀬沼を超えれば、と思ったけど、冬はもっとダメだった)

 

A藤:まぁ、頑張るしかないですね!

 

新潟県から群馬県に入るには三国トンネルをくぐる他ない。

 

群馬県から浜名湖へ

 

Y内:関東地方に入れば、どんなルートでも静岡県方面には行けそうと思っていました。

 

Y永:そんな感じはしたけれど、群馬県から埼玉県北部にかけてはちょっとつながるか心配してました。近隣の館林市では路線バスがない時代もあったほど、自家用車に依存する地域なので。

 

Y内:熊谷からは川越、所沢、八王子、橋本を経由して茅ケ崎まで出てしまえば、小田原、さらには箱根、静岡県に入って三島までは安泰だろうと。結果、富士、静岡市東部の由比までは路線バスの乗り継ぎでたどれてよかったです。

 

—さすが、神奈川県のバスに強いY内氏。思い描いたルート通りに経路エンジンは乗り継いだようだ。

関東地方を代表するバス会社の一つ、神奈川中央交通。八王子駅から国府津駅まで7本乗り継ぐ。

 

K山:出発する日付によっては、相模原から山梨県の道志村に入り、富士五湖を巡りながら、富士山をぐるっと回って富士市まで行くルートもあるようですね。

 

Y内:本数が少ない系統を乗り継ぐことになるので、そのルートは思いつかなかった。

 

A藤:これこそ経路検索エンジンだから出せたルートですね。

 

Y永:富士までは良い乗り継ぎだったけど、来たね。壁が。

 

—フォッサマグナ。新潟県の糸魚川市付近から静岡県にかけて本州を縦断する断層帯である。バスも断線する。

 

Y永:静岡市清水区の由比は、国道1号線、JR東海道本線、東名高速道路が狭い平地に束になって通る交通の難所。市街地もここでいったん途切れるということは、路線バスも途切れるね。その停留所が寺尾橋。

 

A藤:新潟県の日本海沿岸の親不知は無論のこと、長野県内を見てもフォッサマグナをまたぐような路線バスはないみたいですね。結果的には静岡県で歩いてまたぐしかないということですね。

 

Y内:それでも次のバス停の県営興津団地前までたった5.3kmですから。

 

(一同):楽勝ですね。

 

—もはや、10km以上の徒歩区間を3か所見てきたメンバーである。1時間歩くことは平気なようだ(計画上は)。山は越えたが、静岡県はまだ続く。

富士市内などを中心に運行する富士急静岡バス。由比付近の寺尾橋まで行ける。

 

A藤:静岡県を横断するのに御前崎を通るのですね。

 

Y内:鉄道がないエリアを路線バスが補完するのが基本パターンなので、静岡県を横断するときは御前崎経由になっているのは理にかなっている気がします。

 

Y永:江戸時代の東海道と現在の路線バスや鉄道との関係を比較しても面白いです。静岡市~藤枝市の間に鞠子宿、岡部宿という宿場があったが、鉄道は通らなかった。そこをしずてつジャストラインのバスが走っているので、結果として静岡から西に進む乗り継ぎがしやすい区間になっています。

 

—御前崎から浜松まで来れば浜名湖は目の前。東京~大阪ならばちょうど中間点になる。というわけで、ここで前編終了。鹿児島に至る後編にもご期待ください。

浜名湖。ここまでで大間崎から11日。ゴールはまだまだ先。

 

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